盆飾りの牛と馬の意味を教えて下さい。

かつて牛や馬は農耕生活の中で欠かせない動物でした。盆棚に飾る牛や馬はそうした生活を反映したものです。お盆の時には牛や馬を休ませて丈夫であるように祈った、とも言われます。
 盆棚の馬や牛はキュウリやナス、藁(わら)や苧殻(おがら)などで作られますが、現在では先祖の乗り物として解釈されるのが一般的です。
 キュウリやナスで馬や牛を作り盆棚に飾る習慣は江戸時代にはすでに見ることができます。俳人として有名な小林一茶(こばやしいっさ)の句には「すね茄子(なすび)、馬役を相勤(あいつとめ)けり」「瓜(うり)の馬御仏並(うまみほとけならび)におがまるヽ」[1823年]というものがあります。
 また江戸時代の文献には「七月十三日から十五日まで、家々ではその先祖を祭り、そこには必ずナスの牛とキュウリの馬を飾る」と記したものもあります。[藤森弘庵(ふじもりこうあん)『春雨楼紙鈔(しゅんうろうししょう)』1851年]
 ナスはその形から牛となり、キュウリはその形から馬と連想されてきましたが、実は地域によってナスが馬ということもあります。また、複数を飾ったり、牛か馬のどちらかを飾るという場合もあります。