お盆に関するお経があると聞きましたが?

お盆に関するお経があると聞きましたが?

Q お盆に関するお経があると聞きましたが?  
A 仏教行事としてのお盆は『盂蘭盆経(うらぼんきょう)』を元にしています。『盂蘭盆経』は竺法護(じくほうご)[239~316]が古代インドの言葉から漢文に翻訳したとされてきました。
 竺法護は莫高窟(ばっこうくつ)で知られる敦煌(とんこう)[現在の中国甘粛省(かんしゅくしょう)]に生まれ、様々な経典を翻訳しました。しかし、実は、古代インドの言葉で書かれたはずの『盂蘭盆経』の原典が見つかっておらず、親孝行のことを説く中国独自の考えが色濃いため、『盂蘭盆経』はインドで生まれたお経ではなく、中国で作られたお経であったとも考えられています。
『盂蘭盆経』の主人公は目連尊者(もくれんそんじゃ)です。目連尊者はお釈迦様の有名なお弟子さんの一人です。目連尊者は神通力(じんつうりき)、つまり超能力に優れており、神通力で冥界(めいかい)にいる父母が今どのようにしているのかを見ます。
 しかし、目連尊者が見たのは餓鬼道(がきどう)に堕(お)ちた母の姿でした。食べ物を口にしようとすると食べ物が燃えてしまってどうしても食べることができず、餓鬼道の母は痩せ衰えていました。
 目連尊者は師匠であるお釈迦様の処に急いで行き、母を救うにはどのようにすれば良いのか聞きます。お釈迦様は次のように答えられました。
「目連よ、七月十五日、僧侶の雨季の修行が終わるその日、七代前のご先祖様から今の親のために、多くの飲食物などを僧侶に供え祈願してもらいなさい。そうすれば七代前の先祖から今の両親に至るまで苦しみから離れて幸せになるだろう。」
 このことを聞いた目連、そしてお弟子さんたちは非常に喜び、この喜びを表現したものが盆踊りの起源の一つであると言われています。
 お釈迦様の時代から出家者[僧侶]は夏の雨季に集団で修行する習慣がありました。この修行が終わる日が7月15日であり、反省と懺悔(ざんげ)行うこの日をご先祖様そして父母の供養の日にせよ、とお釈迦様はお弟子さんに伝えました。
 つまりお盆はご先祖様をお迎えする日であると同時に、自らの行いを反省する日でもあります。